会津で不快二郎を食った話
10月も終わろうとしていた頃、1泊2日で会津に行く仕事があった。
今の季節に行けと言われていたら確実に拒否していただろう。
会津に行くのは小学生の頃の修学旅行ぶりだ。
(悲しい思い出………)
福島県民になって幾数年だが、会津に行こうと思ったことは微塵もなかった。全くと言っていいほど行く目的がないため。
なので今回の出張は約20年ぶりの会津ということで若干テンションが上がっていた。若干。
ウルトラマン市から西に50km。
栃木行けちゃうよ〜!(オズワルド伊藤)
会津若松ICで降りようと思ったのにどういうわけか出口をスルーしてしまう。
次の新鶴ICが現金非対応だったので更にスルーせざるを得なかった。
そうこうしてるうちに15kmもオーバーランしてしまい会津坂下ICで降りてしまった。アホだよなあ。
下道で再び会津若松を目指す。アホだよなあ。
信号が全てタテ型になっており、雪国の恐ろしさを感じさせられる。
あとレギュラーガソリンが異常に高すぎる。
ウルトラマン市が160円で入れられるとしたら会津は180円ぐらいする。一瞬ハイオクかと思ったモン。
ここはどこだよ…と一人泣きながら知らん山道を掻き分け走っていると、1軒の喜多方ラーメン屋を見つける。
こういうところがうまいんだ。俺は詳しいんだ。
何はともあれ腹ごしらえ。
背脂ラーメン ネギメンマ増し ¥880
美味い麺を食ったら、早くも帰りたくなってきた。
まだ目的地にすら着いていないというのに。
適当に仕事を終わらせ、会津若松駅前に立つ。
ここからは楽しい散策タイムだ。
夜になると、駅前以外は真っ暗になっていた。
郡山駅前のような夜に騒ぐ大バカモンもおらず、みんな静まり返っている。さすがは品格のある城下町といったところ。
そうだ、会津にはラーメン二郎があるんだった。どうやら駅から近いらしい。
来たからには食わねば。まだ時間に余裕もある。ホテルから車を出すのも面倒だし、歩いて行くことにした。
会津若松駅からちょっと外れたところにあるとのことだが、位置がよくわからず別な居酒屋の裏口から通り抜けてしまい店員に不審な目で見られてしまった。俺も「なんか文句あるか?」という目で応戦した。悪いのは俺なのに。
そうして二郎に辿り着く。
周辺の静けさとは裏腹に、店内は禍々しい瘴気に包まれて賑わっていた。
迷わずラーメンとショウガ。
出てくるヌルヌルのプラ食券。これだよこれ。
隣の席にはスーツの中国人2人。
待ちの段階から既にうるさい。
YouTubeか何かの動画を流してゲラゲラ笑っている。
何が嫌だって俺もスーツを着て入ってしまったこと。
周囲から害悪スーツ3連番だと思われてそうで本気でラーメン食う前から鬱病になった。
気を取り直してコールタイム。
明日も仕事だったのでニンニクも野菜も脂も足さなかった。もったいない人生。
ラーメン+ショウガ
麺は柔めの縮れ平打ち。どことなく喜多方の風土に雰囲気を寄せていると思う。
しっかり返しの効いたスープに豚も見事。
完飲。ごそさん。
……と言いたいところだったが、例のスーツ中国人がどちらもこの世の咀嚼音と思えないほど異常な音を立ててラーメンを食っていた。
「ンビーッ゛!!ンブフフゴボォ!!ビッ!ビ、ボバンバァァァァァ゛!!!!」といった感じで麺をすすり野菜を貪るんですわ。電動シュレッダーでももっと静かな音出ると思う。
さらには豚のシェアを始めるわ丼を上げないわ卓も拭かないわで帰るし何から何まで最悪だった。
念願だった会津二郎は途中から味が分からなくなりお店を後にした。
夜食はドンキで買い足そうと思って結局車を走らせた。
さすがMEGAというだけあってデカかったが、プロテインの売り場が5周ぐらいしても見当たらず結局適当なお菓子ばかり買って出てきてしまった。
せっかくだしと夜の鶴ヶ城でも見て行きますかな…と思って鶴ヶ城周辺に車を停めたものの、ライトアップも何もされていなくてそこにはただの「闇」が広がっていた。今日はどこまでもとことんついていない。何気なく六曜を見たら仏滅だった。
朝起きて仕事場に行ったら11:00に帰された。
昨日日帰りさせろや。
二郎リベンジをしようと思ったら定休日になっていた。今日もどうやらついてないらしい。
完全に暇になった。
完全に暇になったところで、会津にラッキーが居たのを思い出した。
町おこしで福島県の至るところにデカいラッキーの遊具が設置されているのだ。
せっかくここまで来たのだから見ていくか…と「福島県河沼郡柳津町」にナビを合わせてみれば、会津若松市から相当遠い。
どうしてこんなところに設置しようと思ったのか……
そうしてなんとか辿り着いた先に…
ラッキー達は居た。
いざ来てみるとこう…なんか……こう……
ラッキー達もどんな気持ちでここに佇んでいるのだろうか。
本当に土地の一角というか下手な公園より狭い。
俺がいつも徘徊している異常公園こと郡山の開成山公園はこう土地も広く…開放感があって…
遊具の大きさは全く一緒なのだが、虚無感は遥かに大きかった。
いよいよ行きたい場所も無くなり、あとは喜多方市を一周して帰ってきた。
色々含めて往復計200kmは走っただろうか。走行距離に対して得るものが本当に無さすぎた。
次来るのはまた20年後ぐらいでいいや。
終わり