メンズTBCのヒゲ脱毛に40万使った話①
ようやく書く時が来た。
時はまだ仙台にいた頃。
疫病が流行るちょっと前のお話。
俺はとにかくヒゲが濃かった。
ヒゲが濃いのに肌も白いのでマジで剃っても剃っても青髭が浮き出てくるのが苦痛で仕方なかった。
イメージするなら日本代表の三苫のよう。そうだ…俺は三苫なんだった……俺は三苫に似ている……
加えて敏感肌なのでカミソリを入れただけであらゆる所から血が吹き出る。もうこんな生活こりごりだよ〜
思い立って、ヒゲの脱毛を決意する。
選んだ場所はメンズTBC。
いろんな所の広告で出てくるのでとにかくネームバリュー重視で選んでしまったところはある。
あとは仙台駅から徒歩1分というところも都合が良かった。
まずは1000円でお試しができるらしいので、これが合わなかったらやめればいいか…と、そんな気持ちで申し込むだけ申し込んだ。
中に入ってみると、小綺麗な店内に通される。流石エステティックという感じだ。
受付を済ませると、担当のお姉さんが出てくる。
これもまあ小綺麗なエステのお姉さんって感じでよそよそしい。
まずはカウンセリングを受ける。
「ヒゲをどれほどの割合で無くしたいか」
「どの部分を無くしたいか」
「予算はどのくらいか」
といった内容を聞いてくる。
「お……お試しで来たので…」と伝えると、お姉さんは「まぁまぁ、これ見てください〜」などと言いアゴ部分にマイクロスコープを当てられ、「ここの密度が〜」とか色々言われたが、あんまり頭に入って来なかった。
そうこうしているうちにモノは試しだと、スーパー脱毛の説明を受ける。
ついにお待ちかねの脱毛体験の時間だ。
TBCの脱毛方式はこんな感じ。
一般的な脱毛は広範囲に光を照射しヒゲを弱くしていくものなのだが、TBCは一味違う。
ざっくり言えば、「ヒゲを1本1本抜きながら、抜けた跡の毛穴を焼き切る」のだ。
ヒゲを1本抜く痛みは大抵の男性諸氏はお分かりだろう。なおかつその抜けた穴に針を差し込まれ、毛穴を焼き切られるのだ。
聞くだけでケツの穴が怯む。
カーテンのついた部屋に通され、仰々しい機械がこちらを待つ。
目の保護のため、黒いカバーのようなものを被せられる。ウルトラマンの目のようなカバーだ。
自分では分からないが、はたから見たらさぞ面白い顔になっていることだろう。
視界が真っ暗になったところで、冷えたジェルのようなものを口周辺にベトベト塗られる。
俺はこれから何をされるんだ……
ピッ!
イッテエ〜ッ!!
とにかく痛い。
ヒゲを抜くだけでも痛いのに、その後に針が入ってビームを打ってくる。
顔が芯から歪むほどの激痛だ。涙が出てくる。
ウルトラマン・アイ(目のカバー)の隙間から機械を見ると、カウンターが"1"となっていた。これで150本をカウントするのだろう。
「大丈夫ですか?」とお姉さんに問われたので、「こんなヤバいんすか…」と答える。
正直ナメていた。ここまで痛いとは……
「続けてみますので、痛かったら言ってくださいね〜」と続けて3本のヒゲを抜く。
ピッ! ピッ! ピッ!
2発目、3発目、4発目と回数が嵩むにつれあまりの痛さに耐えられなくなり、遂に「ア゛アーーーッ゛!!」と声を出した。
お姉さんも「初めは皆さん痛さにビックリするんですが、徐々に慣れてきますよ〜」と言う。
こんなの慣れるわけがないだろ……
非情にもレーザーの音は鳴り響く。
ピッ! ピッ!
5発目。6発目。耐え難い激痛が俺を襲う。
本当に今まで受けたことのない痛みだ。
あまりの痛さにマリオのドッスンのような顔をしていると、お姉さんが「今回は体験ですので、左の鼻下だけ150本抜いてみますね〜」と言う。
「アッハイ…そうですか…」と蚊の鳴くような声でドッスンは答えた。この時は痛みで朦朧としていたんだ。お姉さんが何を言っているのか分からなかったので。
処置が終わってから気づくのだが、俺はこの言葉の恐ろしさに気付かなかった……
次回に続く。